福島シンポジウム2018「原発事故から7年、不条理と闘い生きる思いを語る」報告

2018年2月17日(土)に第9回目となるシンポジウムを福島市内で開催いたしました。2017年3月末に避難解除が宣言された状況下での矛盾ある復興政策、被曝リスクの中での暮らしと健康問題、避難生活の維持のための課題等について、飯舘村民5名、専門家4名が課題と展望について熱く語りました。聴衆は多くの村民、報道関係者もまじえて200人の参加でした。村民からはADR、裁判闘争での東電の理不尽な対応への糾弾や今後の裁判闘争のあり方、長期化する避難生活で形成された移住先コミュニティの維持と村内コミュニティの維持という二重コミュニティの重要性、若い世代のつながり維持のための村民達の試み、村の暮らしに安らぎを求めて帰村した村で、放射性物質が残る自家菜園で農作物を作らざるを得ない不条理、「村に戻ったからといって、東京電力を許したわけではない」と訴えました。

専門家からは、放射能汚染された状況下での避難解除という「例外状態」が政策的に作られた不条理、除染された宅地・農地の土中、山林、樹木での放射能汚染継続が指摘され、産業公害法として「放射能汚染対策法」(仮)制定、住民の二重居住権の補償の必要性が指摘された。さらに、避難解除基準の年間20m㏜は緊急時被曝状況の基準にすぎず、それ以下は安全・安心を意味せず、現在の避難解除の不条理、低線量被曝による健康問題では次世代等将来世代への影響の可能性を視野にいれた長期的対策の必要性が指摘された。飯舘村民の半数以上が参加しているADR闘争の弁護団からは、初期被曝への和解案に対する東電の理不尽な拒否が指摘され、他の裁判闘争、反原発闘争との連携を含めた長期的な闘いに向けた課題が指摘された。

その後、会場等の総合討論が実施され、初期被ばくに伴う甲状腺障害、除染済農地での農作業による被曝リスク対策の必要性や、公共事業中心の復興事業の不条理等が指摘された。福島市内での村民との協働によるシンポジウムの重要性を再認識した。今後も継続して科学的調査研究を介して、かつ、政策的な提案も加味した幅広い支援活動の継続が必要となっている。

文責 糸長浩司(共同世話人)

当日の配付資料及び提示資料は、福島シンポジウムのページからダウンロードいただけます。

★★★東京でもNPO法人エコロジー・アーキスケープの主催で飯舘村民との共同によるシンポジウムが開催されます★★★

こちらのシンポジウムは、事前申し込みが必要です。詳しくは、NPO法人エコロジー・アーキスケープのWebsiteをご覧ください。http://www.ecology-archiscape.org/

EAS飯舘支援活動2018

飯舘村民支援活動報告・交流会  

原発事故から7年、求められる支援を村民と語る

主催 NPO法人 エコロジー・アーキスケープ

協力 日本大学生物資源科学部糸長研究室/BIOCITY

日時:2018年3月17日(土)14時~17時

場所:アーツ千代田3331

1階ラウンジ(〒101-0021 東京都千代田区外神田6丁目11-14)

東京メトロ銀座線末広町駅4番出口より徒歩1分/千代田線湯島駅6番出口より徒歩3分

参加費:500円(ドリンク代)

申込み・問い合わせ先:EAS 事務局 eas@bronze.ocn.ne.jp

<プログラム>

14:00 開会あいさつ

14:05 支援活動報告                   浦上健司(EAS)

14:20 除染の限界、避難解除の不条理           糸長浩司(日本大学)

14:40 村民の思い

  ①  ADR飯舘村民救済申立闘争の今と今後       長谷川健一(村民)

  ②  二地域居住と農・生活・コミュニティ再建     菅野哲(村民)

  ③  村内外でのコミュニティ再建への途        佐藤健太(飯舘村議員)

15:40 総合討論

16:00 交流会 村民の皆さんとの交流(ドリンク付き)

17:00 終了

こちらからチラシ(PDFファイル)がダウンロードいただけます。